フェムテックと薬機法
吸水ショーツと薬機法規制
今話題のフェムテックジャンルの吸水型サニタリーショーツですが、薬機法の関係で、「生理用品とはうたえない」というニュースを以前見ました。
「生理用品」として販売できない吸水ショーツ “薬機法に気を付けて” | WWDJAPAN
「まぁ、そうだよね・・・」、
と私は薬機法を勉強していて思いました。
流通している生理用のナプキンは薬機法において「医薬部外品」にカテゴライズされています。生理用品はその医薬部外品の許認可がないと「経血を吸収する」という機能は伝えられません。そして、現状の厚労省の通達(薬機法のルール・運用を示している書面)では、「吸水ショーツ」が医薬部外品認定されるのは大変困難だと思われます。
今回はそんなフェムテックと薬機法の関係性についてお伝えしていきます。
そもそもフェムテックとは
FemTech(フェムテック)とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品(製品)やサービスのことを指す。
たとえば、海外のスタートアップでは生理痛の改善や月経周期の予測、妊娠中のQOL向上、不妊対策、更年期障害の改善、セクシャルヘルス(セックストイなど)、女性特有の病気などのケアが取り組まれている。日本でも生理予測・妊娠サポートをするアプリ「ルナルナ」は、実はフェムテックに当てはまるものだ。一方、デジタルなテクノロジーではない製品は「フェムケア」と呼ばれる。
フェムテックの市場規模
フェムテックの市場規模は拡大成長傾向にあり、2025年には世界全体で約5.3兆円に達する見込み、2018年の市場規模は約1.8兆円だったため、CAGRでは16.3%の伸びが予測されているそうです。
フェムテックと規制の壁
また、フェムテックに立ちはだかる規制の壁について伝える記事もありました。
フェムテック製品ではっきり効果効能を謳うのは難しい
正直なところ、現在の薬機法だと新規参入のテック系のヘルスケア関連の商品では、(医療品ではなく雑品でいくならば)事業者が「言いたいこと(効果効能)」は残念ながらほとんど言えないと思います。
(緩和や法改正の動きもありますが、それはまた今度お伝えします)
PR活動と薬機法の関係
PRは企業が伝えたいことをわかりやすく、印象的に、広がりを持って情報を伝達していく活動ですが、薬機法が絡むとその前段階に大きな問題が発生することになります。
本来だったら伝えたかった効果効能など、
「企業が伝えたいこと」は「法的に伝えてはいけない」のです。
これは事業者にとっても、マーケティングやPR担当にとっても結構な衝撃です。
私のお客様でも、薬機法に違反しないように表現を変えたら、本来言いたかったことと大きくかけ離れてしまい、少なからずショックを受けている、そういったシーンを数多く見てきました。
ビジネス設計段階から薬機法の意識を
伝えたいことを伝えては"いけない"となると、そもそもそのビジネスに取り組むべきか、という問題も出てくるでしょう。だから本来は、ビジネスや商品設計の段階から薬機法を意識すべきなのです。
つまり、薬機法に関わる事案は、事業計画が変わるほど、大変な重みのあるものだと言えます。
スタートアップ企業が薬機法違反疑惑で炎上
以前、とあるスタートアップの会社がローンチしたサプリメントのサービスが薬機法違反ではないかとネットで炎上したことがありました。
これについて、かずのすけさんの記事の最後に、「SNSで炎上させよう」と働きかけるのは違うのでは?とありましたが、私も同意見です。違反かどうかは行政が判断、処分検討すべきと思いますし、外野が違反だと殊更にSNSを使って訴えるのはあまり得策でないように思います。
一方、事業者がヘルスケアサービスに新たに取り組むなら、薬機法のことを最初に知っていたら、やり方も変わっていたのではないかと思います。
他のビジネスで成功したという方も、ヘルスケア分野は、薬機法の特殊なルールがあるので、一筋縄ではいかない部分もあります。
でも早めに知っていたら対策ができます。計画やサービスや商品がガチっと固まったから薬機法対策を考える、では遅い気がします。
今回フェムテックをテーマに取り上げましたが、私は今薬機法勉強してて、近々資格試験も受ける予定ですが、こういった「ヘルステック」の分野のPRを将来的に携われたらなぁと考えています。私が今個人的に一番興味がある分野で、海外の動きなども含め、幅広く調べています。
ではなぜ興味があるか、ですがこの記事で紹介した人生100年時代とも繋がります。
これからの時代の新しいヘルスケアビジネスを発展させるには薬機法の知識が不可欠
スタンダードな治療である西洋医学は病気や怪我を「治す」のは得意ですが、その先の「QOLを上げる」ことに必ずしも適しているとは言えません。また、東洋医学で言う「未病」と言われる、病気ではないけど不調がある、という状態の改善も不得手です。
そのような領域に対しては、既存の西洋医学に囚われず新しいテクノロジーや、栄養学、ホリスティックなケアを含め取り組んでいくことで、「人々が幸せで健康に暮らす」ということに貢献できると思います。
薬機法絡みのPRは、コアとなる技術革新とともに、最重要くらいに重要になると思うので、それらのPRに取り組みたいと考えています。
次回は、そういったお話を中心に、私が薬機法を勉強を始めたことについての想いについてお伝えできればと思います。
追記
フェムテック製品について、規制を打破するための提言を自民党の議員連盟が取りまとめるという動きもあります。これからの動きに期待ですね。