食品なら効果効能は謳える? 薬機法の「明らか食品」とは?
今回は、食品のPRや広告に関わる方なら知っておいて損はない、薬機法における「明らか食品」についての解説です。
私は9年前にフリーランスのPRプランナーとして独立しましたが、その際のキャッチフレーズが「食のPRプランナー」でした。
おかげ様で、飲食店や食品関係、食のプロジェクトなど数多くのPRに関わってきました。特に最近、「ヘルシーな食」がトレンドとなり、クライアント様から"健康効果のある食品"、(いわゆるサプリメントではなく)例えばお菓子やドリンク、ご飯や麺類どで健康効果のある商品のPRついて相談されることが増えました。
一定の健康効果が期待できる場合、商品の特長のひとつとして打ち出したいケースもあるでしょう。その際はどうしたらよいのでしょうか?
「明らか食品」とは?
薬機法では「明らか食品」といって、米や魚など、だれが見ても食品だとわかるものは、薬機法の適用を受けず、効能を伝えても違反にならないとされています。
サプリメント等の健康食品は、医薬品と誤解されるような売り方(身体への作用を示す)をすると薬機法違反となりますが、誰が見ても明らかな食品なら医薬品と誤解されることはないと考えられるためです。
明らか食品の種類
これによれば、「通常人が社会通念上容易に通常の食生活における食品と認識するものとは、例えば次のような物が考えられる」とされ、下記の食品が明らか食品として示されています。
1.野菜、果物、卵、食肉、海藻、魚介等の生鮮食料品及びその乾燥品
(ただし、乾燥品のうち医薬品として使用される物を除く)
2.加工食品
(例)豆腐、納豆、味噌、ヨーグルト、牛乳、チーズ、バター、パン、うどん、そば、緑茶、紅茶、ジャスミン茶、インスタントコーヒー、ハム、かまぼこ、コンニャク、清酒、ビール、まんじゅう、ケーキ、等
3.1、2の調理品
(惣菜、漬物、缶詰、冷凍食品 等)
4.調味料
(例) 醤油、ソース 等
※もっと詳細に知りたい方はこちらもご参照ください。
明らか食品って何ですか?《健康食品カテゴリー》 - 薬事法ドットコム
明らか食品と認められるもの、認められないもの
「なるほど、上記に当てはまる食品にてしまえば健康効果を謳えるのか!じゃあインスタントコーヒーにショウガパウダーを添加して、生姜の体を温める効果とコーヒーの脂肪燃焼効果を謳ったダイエットコーヒーにして売ろうかな!」
と考えるのは早計です。行政が「明らか食品」として認めるものは、昔から食品として親しまれてきたもので、目新しいものには適用されず、効果効能を謳うことは許されません。
なので、例えば、「緑茶」は明らか食品だけど、「ルイボスティー」は明らか食品とは言えない、という判断も出ています。「はちみつ」はいいけど、「マヌカハニー」はだめともいえるでしょう。
なので生姜入りダイエットコーヒーのケースも、目新しい食品のため、明らか食品とは言えません。また、明らか食品を組み合わせて新しい食品を作ったとして、双方の効果効能をを謳えるというわけではありません。
明らか食品でもオーバートークには注意
また、明らか食品であっても、効果表現がオーバートークだと景表法違反となります。景表法では客観的な証拠がない限り違反となるので、例えば特定の症状や病気に効くと名言してしまうような表現は要注意です。
目新しい食品は明らか食品ではない
結論、新しく開発した目新しい食品は、明らか食品として効果効能を謳うことは難しいということになります。つまり、サプリメント等の健康食品と同じように直接的な「体への効果効能」を示す表現は控えながら広告やPR表現を作る必要があります。
PR(パブリック・リレーションズ)で伝えられること
私はPRとして多くの食品のプレスリリースやプロモーションに関わってきましたが、「健康効果についてきちんとした研究結果もあって、本当は言いたいのだけど、言えないのだよね」というクライアントさんを数多く見てきました。
確かに、直接的な健康効果を謳えないことは、販促の足枷となるデメリットでしょう。
しかし諦める必要はありません。PR(パブリック・リレーションズ)としてなら、効果効能や薬機法関連で定められた規定以外にも伝えられることは多々あります。
効果効能訴求以外のPRアイデア
・会社の魅力、経営者開発者の魅力や想いを伝える
・開発ストーリーやこだわりを伝える
・パッケージやHPなどを素敵なデザインにするなど見せ方を工夫
・会社が取り組んでいる社会貢献事業をアピール
・世の中のトレンドにフィットしている製品であることを伝える
・コンペやアワードに出てみる、主催してみる
・専門家と組んで、新しいレシピや使い方を開発してみる
等、等、等。
PR(パブリック・リレーション)ならば、伝えていくアイデアはたくさんあり、
効果効能に関わらない部分でも、商品や会社の素晴らしいと思えることを伝えていくことで、魅力を底上げしていくことができます。
PR活動の魅力はお金では買えない「信頼感」を得られること
また、広告だけに頼らずに、プレスリリースやメディアへのアプローチを中心としたPR活動を行うことで、企業がメディアに掲載されて信頼度が高まり、取引先が増えたり、企業や行政との提携連携が生まれるなど、広告では実現できなかった全く新しい展開が生まれることもあります。
薬機法をきちんと守りながらマーケティングを行い、さらにPR活動を通じて社会に支持される信頼感のある会社であるというブランドを醸成することで、企業は大きく成長していける、私はそう信じています。そんな想いに共感いただける方には、ぜひこのブログがビジネスの成長の一助になればと思っています。
次の記事では今トレンドとしてもてはやされている「ヴィーガン」、「グルテンフリー」、「低GI」の製品が、薬機法上どこまで健康効果を謳えるか考察する内容をお伝えします!乞うご期待ください!